DXライブラリ Android版を使用した Androidアプリで Java のコードを実行する


 すべての処理を C++ で実行できれば良いのですが、Android の基本言語が Java である関係で、
Java を使用しないと使うことができない機能が沢山あります。

 なので、ここでは『DXライブラリ Android版』には無い『文字列を入力するダイアログを表示して、入力された
文字列を取得する』
という処理を行うための手順を通じて『DXライブラリ Android版』を使用するアプリで
Java のコードを実行するための方法を記します。


 1.『AndroidManifest.xml』の内容を Java のコードを実行できるように変更する

 2.プロジェクトに Java のソースファイルを追加する

 3.Java のコードを入力する

 4.Java の情報を取得する C++ のコードを入力する



1.『AndroidManifest.xml』の内容を Java のコードを実行できるように変更する

  VisualStudio Community 2017 ( 又は 2015 )『DXライブラリ Android版』を使用する Androidアプリのプロジェクトを開き
 『ソリューションエクスプローラー』と書かれているリストに表示されている『AndroidManifest.xml』
 クリックして、内容を表示します。

  『AndroidManifest.xml』の内容は、使い方ページに沿って編集した場合は以下のようになっていると思いますが、
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?> <!-- Changes made to Package Name should also be reflected in the Debugging - Package Name property, in the Property Pages --> <manifest xmlns:android="http://schemas.android.com/apk/res/android" package="com.$(ApplicationName)" android:versionCode="1" android:versionName="1.0"> <!-- This is the platform API where NativeActivity was introduced. --> <uses-sdk android:minSdkVersion="9" android:targetSdkVersion="19"/> <!-- This .apk has no Java code itself, so set hasCode to false. --> <application android:label="@string/app_name" android:hasCode="false" android:theme="@android:style/Theme.NoTitleBar"> <!-- Our activity is the built-in NativeActivity framework class. This will take care of integrating with our NDK code. --> <activity android:name="android.app.NativeActivity" android:label="@string/app_name" android:configChanges="orientation|screenSize" android:launchMode="singleInstance"> <!-- Tell NativeActivity the name of our .so --> <meta-data android:name="android.app.lib_name" android:value="$(AndroidAppLibName)"/> <intent-filter> <action android:name="android.intent.action.MAIN"/> <category android:name="android.intent.category.LAUNCHER"/> </intent-filter> </activity> </application> </manifest>

  この中の以下のように変更します。(色が緑や赤の部分が変更箇所や追加箇所で、2箇所です)
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?> <!-- Changes made to Package Name should also be reflected in the Debugging - Package Name property, in the Property Pages --> <manifest xmlns:android="http://schemas.android.com/apk/res/android" package="com.$(ApplicationName)" android:versionCode="1" android:versionName="1.0"> <!-- This is the platform API where NativeActivity was introduced. --> <uses-sdk android:minSdkVersion="9" android:targetSdkVersion="19"/> <!-- This .apk has no Java code itself, so set hasCode to false. --> <application android:label="@string/app_name" android:hasCode="true" android:theme="@android:style/Theme.NoTitleBar"> <!-- Our activity is the built-in NativeActivity framework class. This will take care of integrating with our NDK code. --> <activity android:name="com.(プロジェクト名).Packaging.(プロジェクト名)" android:label="@string/app_name" android:configChanges="orientation|screenSize" android:launchMode="singleInstance"> <!-- Tell NativeActivity the name of our .so --> <meta-data android:name="android.app.lib_name" android:value="$(AndroidAppLibName)"/> <intent-filter> <action android:name="android.intent.action.MAIN"/> <category android:name="android.intent.category.LAUNCHER"/> </intent-filter> </activity> </application> </manifest>
 ( (プロジェクト名)となっている箇所は、お手元のプロジェクトの名前を入力してください )



2.プロジェクトに Java のソースファイルを追加する

  次に Java のソースファイルを以下の手順でプロジェクトに追加します。

  ① 『ソリューションエクスプローラー』と書かれているリストに表示されている『(プロジェクト名).Packaging』
    を右クリックして、表示されるプルダウンメニューから『追加(D)』→『新しいフォルダー(D)』を選択して、
    『新しいフォルダー』を追加して、名前を『src』としてください。

  ② 次に追加した『src』フォルダーを右クリックして、再びプルダウンメニューから『追加(D)』→『新しいフォルダー(D)』を選択して、
    『新しいフォルダー』を追加して、今度は名前を『com』としてください。

  ③ 次に追加した『com』フォルダーを右クリックして、再びプルダウンメニューから『追加(D)』→『新しいフォルダー(D)』を選択して、
    『新しいフォルダー』を追加して、今度は名前を『(プロジェクト名)』( (プロジェクト名) はお手元のプロジェクトの名前に置き換えてください )としてください。

  ④ 次に追加した『(プロジェクト名)』フォルダーを右クリックして、再びプルダウンメニューから『追加(D)』→『新しいフォルダー(D)』を選択して、
    『新しいフォルダー』を追加して、今度は名前を『Packaging』としてください。

    と、要は『(プロジェクト名).Packaging』以下に『src』→『com』→『(プロジェクト名)』→『Packaging』というフォルダ
    を作ります。次に漸く Java ファイルの追加です。

  ⑤ 追加した『Packaging』フォルダーを右クリックして、今度は『新しい項目(W)...』を選択して『新しい項目の追加』ダイアログを表示します。

  ⑥ ダイアログ左側のリストから『インストール済み』→『Cross Platform』→『Android』を選び、
    右側のリストから『Java』を選びます。

  ⑦ ダイアログ下側の『名前(N):』の項目に『(プロジェクト名).java』と入力して『追加(A)』ボタンを押します。

  ⑧ 次に追加された『(プロジェクト名).java』を開いた状態でメニューから『ファイル(F)』→『名前を付けて(プロジェクト名).javaを保存(A)...』を
    選択して、『名前を付けてファイルを保存』ダイアログを表示します。
    ( VisualStudio 2015 の場合はメニューから『ファイル(F)』→『保存オプションの詳細設定(V)...』を選択して、『保存オプションの詳細設定』ダイアログを表示します )

  ⑨ 『名前を付けてファイルを保存』ダイアログの右下にある『上書き保存(S)』の項目を『エンコード付きで保存(V)...』
    に変更します。すると変更した瞬間に『名前を付けて保存の確認』ダイアログが表示されますので『はい(Y)』を選択してください。
    ( VisualStudio 2015 の場合はこの工程が無いので、手順⑩に進んでください )

  ⑩ 次に『保存オプションの詳細設定』ダイアログの『エンコード(E):』の項目を『日本語 (シフト JIS) - コードページ 932』から
    『Unicode (UTF-8 シグネチャなし) - コードページ 65001』に変更して『OK』ボタンを押します。
    ( 『Unicode (UTF-8 シグネチャ付き) - コードページ 65001』と間違えないようにしてください、
     『Unicode (UTF-8 シグネチャなし) - コードページ 65001』はリストのかなり下の方にあります )


 ( (プロジェクト名)となっている箇所は、お手元のプロジェクトの名前を入力してください )


  これで java ファイルの追加は完了です。



3.Java のコードを入力する

  追加した『(プロジェクト名).java』には最初から数行書かれていますが、それを全部消して、代わりに
 今回の『文字列を入力するダイアログを表示して、入力された文字列を取得する』の処理を行うための
 以下のコードを入力します。
package com.(プロジェクト名).Packaging; import android.app.NativeActivity; import android.os.Bundle; import android.widget.EditText; import android.app.AlertDialog; import android.content.DialogInterface; import android.view.View; import java.lang.Runnable; public class (プロジェクト名) extends NativeActivity { NativeActivity AppActivity ; EditText EditView ; AlertDialog.Builder AlBuilder ; // 入力された文字列を保存するメンバー変数 String InputString ; // 文字列の入力が終わったら 1 にするフラグ用変数 int InputEnd ; // 文字列入力ダイアログを開始する public void StartInputStringDialog() { // NativeActivity の参照をメンバー変数に保存しておく AppActivity = this ; // 文字列の入力が終わったら 1 にするフラグを 0 で初期化 InputEnd = 0 ; // UIスレッドで実行する処理を登録する runOnUiThread( new Runnable () { // UIスレッドで呼ばれる関数 @Override public void run() { // 文字列入力の View を作成 EditView = new EditText( AppActivity ) ; // ダイアログを作成 AlBuilder = new AlertDialog.Builder( AppActivity ) ; // ダイアログのタイトルを設定 AlBuilder.setTitle( "テキスト入力ダイアログ" ) ; // ダイアログに文字列の View をセット AlBuilder.setView( EditView ) ; // ダイアログに OK ボタンを追加 AlBuilder.setPositiveButton( "OK", new DialogInterface.OnClickListener() { // OK ボタンが押されたときに呼ばれる関数 public void onClick( DialogInterface dialog, int whichButton ) { // 入力された文字列をメンバー変数に保存 InputString = EditView.getText().toString() ; // 入力されたかどうかのフラグを立てる InputEnd = 1 ; // タイトルバーとナビゲーションバーを非表示にする処理 View decor = AppActivity.getWindow().getDecorView() ; decor.setSystemUiVisibility( View.SYSTEM_UI_FLAG_HIDE_NAVIGATION | View.SYSTEM_UI_FLAG_LOW_PROFILE | View.SYSTEM_UI_FLAG_FULLSCREEN | View.SYSTEM_UI_FLAG_IMMERSIVE | View.SYSTEM_UI_FLAG_IMMERSIVE_STICKY ); } }); // ダイアログを表示 AlBuilder.show() ; } }) ; } }
 ( (プロジェクト名)となっている箇所は、お手元のプロジェクトの名前を入力してください )



4.Java の情報を取得する C++ のコードを入力する

  次に Java の文字列入力を開始する関数を呼び出したり、入力された文字列を取得したりする C++ 側の
 プログラムです。
  『DXライブラリ Android版』でのみ使用できる GetNativeActivity という関数を使用しています。
#include "DxLib.h" #include <string.h> int android_main( void ) { JNIEnv *env ; const ANativeActivity *NativeActivity ; int InputEnd ; char InputString[ 1024 ] ; // 背景を灰色にする SetBackgroundColor( 128,128,128 ) ; // DXライブラリの初期化 if( DxLib_Init() < 0 ) return -1 ; // 描画先を裏画面に変更 SetDrawScreen( DX_SCREEN_BACK ) ; // アプリの NativeActivity を取得しておく NativeActivity = GetNativeActivity() ; // Java の関数 StartInputStringDialog の呼び出し { // JavaVM とソフト実行用スレッドを関連付け( C++ から Java の機能を使用するために必要 ) if( NativeActivity->vm->AttachCurrentThreadAsDaemon( &env, NULL ) != JNI_OK ) { return -1 ; } // Java のクラス (プロジェクト名) を取得 jclass jclass_(プロジェクト名) = env->GetObjectClass( NativeActivity->clazz ) ; // Java のクラス (プロジェクト名) のメンバー関数 StartInputStringDialog の ID を取得 jmethodID jmethodID_StartInputDialog = env->GetMethodID( jclass_(プロジェクト名), "StartInputStringDialog", "()V" ) ; // Java のクラス (プロジェクト名) のメンバー関数 StartInputStringDialog の呼び出し env->CallVoidMethod( NativeActivity->clazz, jmethodID_StartInputDialog ) ; // Java のクラス (プロジェクト名) の参照を削除 env->DeleteLocalRef( jclass_(プロジェクト名) ) ; // JavaVM とソフト実行用スレッドの関連付け終了 NativeActivity->vm->DetachCurrentThread() ; } // 入力が完了したかどうかのフラグを倒す InputEnd = 0 ; // メインループ while( ProcessMessage() == 0 ) { // 裏画面の内容をクリア ClearDrawScreen() ; // 入力が完了していなかったら Java のクラス (プロジェクト名) のメンバー変数 InputEnd と InputString の情報を取得する if( InputEnd == 0 ) { // JavaVM とソフト実行用スレッドを関連付け( C++ から Java の機能を使用するために必要 ) if( NativeActivity->vm->AttachCurrentThreadAsDaemon( &env, NULL ) != JNI_OK ) { return -1 ; } // Java のクラス (プロジェクト名) を取得 jclass jclass_(プロジェクト名) = env->GetObjectClass( NativeActivity->clazz ) ; // Java のクラス (プロジェクト名) のメンバー変数 InputEnd の ID を取得 jfieldID jfieldID_InputEnd = env->GetFieldID( jclass_(プロジェクト名), "InputEnd", "I" ) ; // Java のクラス (プロジェクト名) のメンバー変数 InputEnd の値をローカル変数 InputEnd に代入 InputEnd = env->GetIntField( NativeActivity->clazz, jfieldID_InputEnd ) ; // InputEnd が 1 になっていたら入力が完了しているので InputString の値を取得する if( InputEnd == 1 ) { // Java のクラス (プロジェクト名) のメンバー変数 InputString の ID を取得 jfieldID jfieldID_InputString = env->GetFieldID( jclass_(プロジェクト名), "InputString", "Ljava/lang/String;" ) ; // Java のクラス (プロジェクト名) のメンバー変数 InputString の jstring オブジェクトを取得 jstring jstring_InputString = ( jstring )env->GetObjectField( NativeActivity->clazz, jfieldID_InputString ) ; // Java のクラス (プロジェクト名) のメンバー変数 InputString の jstring から C++ 用の文字列のアドレスを取得 const char *chars_InputString = env->GetStringUTFChars( jstring_InputString, NULL ) ; // 文字列をローカル変数 InputString にコピー strcpy( InputString, chars_InputString ) ; // Java のクラス (プロジェクト名) のメンバー変数 InputString の jstring から取得した C++ 用の文字列のアドレスを解放 env->ReleaseStringUTFChars( jstring_InputString, chars_InputString ) ; // Java のクラス (プロジェクト名) のメンバー変数 InputString の jstring オブジェクトの参照を削除 env->DeleteLocalRef( jstring_InputString ) ; } // Java のクラス (プロジェクト名) の参照を削除 env->DeleteLocalRef( jclass_(プロジェクト名) ) ; // JavaVM とソフト実行用スレッドの関連付け終了 NativeActivity->vm->DetachCurrentThread() ; } // InputEnd と InputString の状態を画面に描画 DrawFormatString( 0, 100, GetColor( 255,255,255 ), "InputEnd:%d InputString:%s", InputEnd, InputString ) ; // 裏画面の内容を表画面に反映 ScreenFlip() ; } // DXライブラリの後始末 DxLib_End(); // ソフトの終了 return 0; }
 ( (プロジェクト名)となっている箇所は、お手元のプロジェクトの名前を入力してください )

  以上です。
  これでプロジェクトを実行すると、起動と同時に文字列入力ダイアログが現われ、文字列を入力して OK ボタンを押すと
 画面に入力した文字列が表示されると思います。

  詳細は割愛しますが、C++ から Java にアクセスする基本的な流れは。

   ① AttachCurrentThreadAsDaemon でソフト実行用スレッドと JavaVM を関連付け、JNIEnv も取得。

   ② GetObjectClass でアプリの Java クラスを取得。

   ③ GetMethodID や GetFieldID で Java の関数や変数の ID を取得。

   ④ Call???Method や Get???Field で Java の関数の呼び出しや変数の値を取得。

   ⑤ DeleteLocalRef で Get???Field で取得したオブジェクト系の変数の参照を削除。

   ⑥ DeleteLocalRef で GetObjectClass で取得したアプリの Java クラスの参照を削除。

   ⑦ DetachCurrentThread でソフト実行用スレッドと JavaVM の関連付けを終了。

  となります。
  C++ と Java でのやり取りを行う機能( JNI( Java Native Interface ) ) の詳しい扱い方については、検索サイトで
 『Android Java JNI』などのキーワードで検索して調べてみてください。





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