Xcode 14.3.1 の iOSアプリ開発でのDXライブラリの使い方


 Xcode 14.3.1 を使用してDXライブラリを使った iOSアプリを製作するには以下のような手順を踏みます。

1.DXライブラリを使うために必要なものを揃える

2.プロジェクトの作成

3.DXライブラリを使用するためのプロジェクトの設定を行う

4.プログラムを組む

5.プロジェクトのビルド、実行



1.DXライブラリを使うために必要なものを揃える

Xcode 14.3.1 でDXライブラリを使用して iOSアプリを製作するには以下のものが必要です。

    ・Mac PC
    ・Xcode 14.3.1
    ・DXライブラリ iOS版

 まず iOSアプリを開発するには Mac( Macintosh )パソコン が必要です。WindowsPC では iOSアプリの開発はできませんので、
iOSアプリを開発されたい方で Mac をお持ちでない方はまずは Mac を入手してください。( 比較的安価な Mac mini でも大丈夫です )
 二つ目の Xcode 14.3.1 は、プログラムをコンパイルして実行可能な iOSアプリを作成する為のメインとなるソフトです。
こちらは Mac App Store で無償でインストールすることができますので、App Storeアプリからインストールしてください。
 三つ目の DXライブラリ iOS版は本サイトのこちらのページからダウンロードすることができます。
これがないとDXライブラリを使うことができませんので、まだダウンロードされていない方は
DXライブラリ iOS版』をダウンロードしておいてください。



2.プロジェクトの作成

 iOSアプリを開発するためのソフトの準備ができましたので、早速一つ簡単な iOSアプリを作ってみましょう。
 ここでは『画面の中心に四角形を表示する』という動作をするアプリを作る手順を記したいと思います。
 Xcode 14.3.1 で iOSアプリを作るにはまず『プロジェクト』を作成する必要があるので以下にその方法を記します。

   ① Xcode のメニューの『File』→『New』→『Project...』を選んで
         『Choose a template for your new project』ダイアログを表示します。

   ② ダイアログ上部のタブの『iOS』を選びます。

   ③ ダイアログの中の『App』を選択して『Next』ボタンを押します。

   ④ 次に『Product Name』にアプリ名を入力します。ここでは仮に『test』とします。
    そして『Interface:』の項目を『Storyboard』、『Language:』の項目を『Objective-C』に設定して、
    『Use Core Data』『Include Tests』のチェックを外してから『Next』ボタンを押します。

   ⑤ 次にプロジェクトファイルを保存するフォルダを選択して、選択が終わったら
    『Create Git repository on my Mac』のチェックを外してから『Create』ボタンを押します。

 これでプロジェクトの作成は完了です。



3.DXライブラリを使用するためのプロジェクトの設定を行う

 早速プログラムを組みたいところですが、作成したプロジェクトでDXライブラリを使用するための設定をする必要があります。
 ちょっと操作の数が多くてうんざりしますが、プロジェクト一つにつき一回だけなので、根気よく手順を追ってください。

  ① まず Xcode の左側に表示されているプロジェクトのファイルの一覧から
    『h AppDelegate』『m AppDelegate』『h SceneDelegate』『m SceneDelegate』
    『h ViewController』『m ViewController』『m main』『LaunchScreen』

    を右クリックして『Delete』します。
    削除( Move to Trash )するのかプロジェクトから外す( Remove References )だけなのかを訊かれますので、
    削除( Move to Trash )を選択します。

  ② 次に、同じく Xcode の左側に表示されているプロジェクトのファイルの一番上のファイル
    ( 『Product Name』で入力した名前のファイル )をクリックして、プロジェクトの設定を表示します。

  ③ 次に Xcode の右側に表示されたプロジェクトの設定から『Build Settings』を選択します。

  ④ 次に Build Settings の設定項目の中から『Search Paths』の中の『Header Search Paths』と『Library Search Paths』に
    パッケージ内に入っている『プロジェクトに追加すべきファイル_iOS用』フォルダのパスの末尾に
    『/$(CONFIGURATION)$(EFFECTIVE_PLATFORM_NAME)』を付けたパスを追加します。
    ( 例:『プロジェクトに追加すべきファイル_iOS用』のパスが
        /Users/user1/Downloads/DxLib_iOS/プロジェクトに追加すべきファイル_iOS用
     だった場合は、
        /Users/user1/Downloads/DxLib_iOS/プロジェクトに追加すべきファイル_iOS用/$(CONFIGURATION)$(EFFECTIVE_PLATFORM_NAME)      を追加 )
    ( 表示タイプが『Basic』になっていると『Header Search Paths』や『Library Search Paths』が表示されませんので、
     この設定をする際は表示タイプを『All』に変更してください )

  ⑤ 次に同じく『Build Settings』の『Linking』の中の『Other Linker Flags』に以下の内容を入力します。

-lDxLib_iOS -lDxUseCLib_iOS -lpng_iOS -lzlib_iOS -ljpeg_iOS -lbullet_iOS -logg_iOS -lvorbis_iOS -ltheora_iOS -ltiff_iOS -lopus_iOS

  ⑥ 次にタブを『Build Phases』に変更して、『Link Binary With Libraries』の横にある『>』をクリックします。
    すると『+』と表示されている箇所が現れますので、そこをクリックしてフレームワークを追加するダイアログを表示します。

  ⑦ プロジェクトに追加できるフレームワークがずらりと表示されますので、そこから以下のフレームワークを選択してから『Add』を押します。

     AudioToolbox.framework
     CoreGraphics.framework
     CoreMotion.framework
     CoreText.framework
     Foundation.framework
     GameController.framework
     GLKit.framework
     MessageUI.framework
     OpenAL.framework
     OpenGLES.framework
     QuartzCore.framework
     UIKit.framework

    ただ、物凄い数の中から探すのは大変なので、『Choose frameworks and libraries to add』と書かれた箇所の少し下にある『Search』
    と書かれた検索用のテキストフィールドを使って一つづつ追加した方が楽です。

  ⑧ 次に Xcode の左側に表示されているプロジェクトのファイルの中にある『info』をクリックして、内容を表示します。

  ⑨ 表示された『info』の一番上に表示されている『Infomation Property List』の左側にある『>』をクリックするとリストが開き、
    中に表示される『Application Scene Manifest』にカーソルを合わせると右側に『-』ボタンが表示されるので、
    それをクリックして『Application Scene Manifest』を削除します。

  ⑩ 次に『Infomation Property List』にカーソルを合わせると右側に『+』ボタンが表示されるので、それをクリックして項目を一つ追加します。

  ⑪ すると次に追加する項目の名称を入力する状態になりますので、そこで『View controller-based status bar appearance』を入力して
    returnキーを押して入力を確定します。( 入力を確定した後『View controller-based status bar appearance』の右側に『NO』と表示
    されていれば正常に入力が完了しています )

  ⑫ 次に Xcode の左側に表示されているプロジェクトのファイルの中にある『Main』をクリックして、内容を表示します。

  ⑬ 表示された『Main』の中の『View Controller Scene』→『View Controller』という項目をクリックして選択状態にした後、
    Xcode のメニューから『View』→『Inspectors』→『Identity』を選択します、すると Xcode のウィンドウの右側に
    『View Controller』の設定が表示されます。

  ⑭ 設定項目の一番上に『Custom Class』と書かれていて、そのすぐ下に『Class』という入力項目がありますので、そこに
    書かれている『ViewController』を削除して、代わりに『DxLibViewController』と入力します。

  ⑮ 次に、左側のリストから『Dx Lib View Controller Scene( これまで『View Controller Scene』だった項目 )』→
    『DxLibViewController( これまで『View Controller』だった項目 )』→『View』という項目をクリックします。
    先程と同じく設定項目の一番上に『Custom Class』と書かれていて、そのすぐ下の『Class』の入力項目は今度は
    何も書かれていないか、薄く『UIView』と表示されていますので、これを『DxLibGLView』に変更します。

 プロジェクトの設定は以上です、お疲れ様でした。



4.プログラムを組む

 長いプロジェクトの設定が終わったので、漸くプログラムを組めます。
 ですが、まだプログラムを組むためのファイルがない状態ですので、以下の手順でプログラムのファイルを追加します。

  ① Xcode のメニューから『File』→『New』→『File...』を選択します。

  ② 追加するファイルの種類を選択するダイアログが表示されたら『C++ File』を選択して『Next』ボタンを押します。

  ③ 名前を入力します、ここでは仮に『test.cpp』とします。
    そして『Also create a header file』のチェックを外してから『Next』ボタンを押します。

  ④ 次にファイルを作成するフォルダを選択するダイアログが表示されるので、
                   ファイルを保存するフォルダを選択してから『Create』ボタンを押します。

 作成された『test.cpp』を選択すると最初から10行程度のプログラムが書かれていますので、まずこれをすべて削除します。
そして何もプログラムに書かれていない状態になった main.cpp に、以下のプログラムを入力します。

#include "DxLib.h" // プログラムは android_main から始まります int ios_main( void ) { if( DxLib_Init() == -1 ) // DXライブラリ初期化処理 { return -1 ; // エラーが起きたら直ちに終了 } DrawBox( 220, 140, 420, 340, GetColor( 255,255,255 ), TRUE ) ; // 四角形を描画する WaitKey() ; // キー入力待ち DxLib_End() ; // DXライブラリ使用の終了処理 return 0 ; // ソフトの終了 }



 プログラムはこれだけです、どの部分が何をしているのか簡単に説明します。
 まず最初の1行はDXライブラリを使用するために必要なファイル( DxLib.h )をインクルードしています。
 次の『int ios_main( void )はDXライブラリを使用した iOSアプリのプログラムのスタート地点となる関数の宣言です。
( 因みにDXライブラリを使用しない iOSアプリのスタート地点は main ですが、DXライブラリを使用する場合は ios_main となります… )
 中括弧内の最初の文『if( DxLib_Init() == -1 ){ return -1 ; }』はDXライブラリを初期化して使える状態にするために必要な関数『DxLib_Init』を呼んでいます。
この関数はDXライブラリを使うプログラムを組む際には例外を除いてまず最初に呼び出す必要があります。
因みに『if(...』と書かれているのは初期化が失敗したらその時点でソフトを終了させるという処理を行うための物です。
 『DrawBox』は関数名そのまま四角形を描画するための関数です。
 その次の『WaitKey』はキーボードのキーが押されるまで処理を止める関数です。( iOSアプリでもキーボードを接続すればキーボードを使うことができます )
 最後の『DxLib_End() ;』は注釈にも書いてある通りDXライブラリの使用を終了する処理を行う関数を呼んでいる文です。
DXライブラリを使用しているプログラムは最後に必ずこの関数を呼ばなくてはなりません。



5.プロジェクトのビルド、実行

 プログラムの入力が終わったら実行してみましょう。実行するためには

  ① Xcode のメニューから『Product』→『Run』

  ② するとビルドが始まり、ビルドが成功するとプログラムがシミュレーターで実行されます。

  ③ もしアプリが起動して間もなく『DxLib_Init』内でエラーが発生して、画面に
    『"(プロジェクト名.app)"からマイクにアクセスしようとしています。[許可しない][OK]』
    と表示されたら[許可しない]を選択して、Xcode のメニューの『Product』→『Stop』で
    一度プログラムを終了して、再度『Product』→『Run』でプログラムを実行してください。
    ( この現象は2019年3月10日現在確認できるのですが、どうやら Mac のバグのようなので、
     暫くしたら修正され、この現象は発生しなくなるかもしれません、尚、実機でプログラムを
     実行した場合はこの現象は発生しません )

  ④ エラーがあった場合は Xcode のウィンドウの左側に一覧で表示されますので、エラー内容を読み取って問題を修正してください。

 シミュレーターでのプログラムの実行は時間が掛かるので、数分( 長いと10分以上 )待ってみてください。
…画面の中心に四角形が表示されたでしょうか?
 シミュレーターの起動に時間が掛かりすぎると Xcode がエラーとして実行を停止してしまいますが、その場合は
シミュレーターの動作が落ち着いてからもう一度『Product』→『Run』でプログラムを実行してみてください。
 あと、プログラムを終了する場合は Xcode のメニューから
『Product』→『Stop』を選択します。

 これでDXライブラリを使っての iOSアプリ開発の方法はわかりました。後は好きにプログラムを組んで
ゲームを作るだけです。ですがまだDXライブラリの機能は初期化と終了とドットを描画する関数しかわかっていません。
 この他の関数は DXライブラリ関数リファレンスのページ で解説されていますのでそちらを参照して下さい。

 あと、iOSアプリの開発に関する基礎的な情報や注意点を iOSアプリ開発の基礎的な情報や注意点など
解説していますので、こちらも併せてご覧ください。




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